海外のユーザーに向けてSEO対策をお考えの方は、インターネットで世界中と繋がることができる今日、非常に多いことでしょう。
本稿では、そんな海外向けSEO対策についての
- 考え方
- 対策ポイント
- 各国の事例
この3点をお届けします。
「海外SEO対策の捉え方、ポイントを知りたい」「実際の例が知りたい」という方、ぜひ最後までご覧ください!
海外SEO対策における考え方
「SEO」は、「検索エンジン最適化」(Search Engine Optimization) という、検索エンジンに関するマーケティング手法です。
その狙いは、
- ユーザーのニーズと自社の供給したいものの両方に合致したキーワードを使い
- ユーザーに対して有益かつ高品質なコンテンツを提供し
- 検索結果に上位表示することによって、自社ビジネスのファンを増やす
というものです。
▼SEOの詳細はこちらを参照してください。
海外へ向けたSEO対策の根本的な考え方も、上記と全く同じです。
ただし、国が変わればユーザーの価値観等も変わります。現地のユーザーにとって有益な情報を、用意する必要があります。主な対策として、
- 現在、自社サイトの中で評価の高いページを調査
- 1のページで提供している情報・コンテンツを元に、海外向けの企画と執筆
この2点が必要です。
海外SEO対策と日本SEO対策の違いは?
先にお伝えした「現地のユーザーにとって有益な情報を用意する」ため、日本国内向けのSEO対策とは違いが2つあります。
海外の検索エンジンに合わせる
まず、各国で主流の検索エンジンが異なります。
- 日本…Google
- 北米・ヨーロッパ…Bing
- ロシア…Yandex
- 韓国…NAVER
- 中国…Baidu
※各検索エンジンについては、第3章「海外SEO対策の事例」でご紹介します。
国ごとのターゲット層によって、Googleへの対策、それ以外の主流検索エンジンへの対策が求められる可能性があります。
「日本のユーザーに人気のコンテンツを自動翻訳し、そのまま海外向けのサイトで使うこと」はNGパターンです。国によって、好まれる内容は変わります。その国で人気のコンテンツの特徴を捉え、現地のユーザーに響くSEO対策を行います。
競合が増えるため日本SEO対策よりも力を入れる必要がある
SEO対策の範囲が海外へ広がれば、その分ライバルも増えます。
実際、検索に使用される言語のランキングでは、2021年1月時点で「1位:英語(上位1,000万サイトでの割合:60.4%)」に対し、日本語は8位(上位1,000万サイトでの割合:2.1%)でした(参考:「【インターネット】上で使われている言語TOP20」)
Webサイトで使われる言語面でのライバルの増加だけでなく、言語の違いによるキーワードの検索ボリューム(検索頻度)の違いも、避けては通れない課題です。
- ターゲットとする言語での、検索ボリュームの分析
- 上記を踏まえた、コンテンツの企画・作成
この2点が求められます。
海外SEO対策のポイント
海外SEOの対策には、次の5つのポイントがあります。
独自のURLを設定する
複数言語版のサイトを運営する場合は、各言語で独自のURLを設定する必要があります。
同一URL内に複数の言語を使った場合、ユーザーは
- 読みたい言語のコンテンツを見つけづらい
- そのため、閲覧を諦める(ページを離脱する)
ことになります。
Googleが提唱する「最高のユーザー体験」から非常に離れた状態となるため、上位表示の基準からも離れることとなります。
ここで、URL設定の3パターンを、ご紹介します。下の図を参考に、位置を確認しながら、ご覧ください。
- トップレベルドメインの変更:「jp」部分から、対象国のドメイン名へ
- サブドメインの変更:「ja」などを「en」などへ
- サブディレクトリの変更:「ja」などを「en」などへ
翻訳機能を通さずにコンテンツを作成する
コンテンツ作成には、自動翻訳機能を使わず、その言語に詳しい人による作成が、望ましいです。
自動翻訳はその精度においては現在進行形で向上しているものの、不自然な翻訳や、細かなニュアンスにおける誤りなど、完全に頼れるツールではありません。不自然な文章も、複数言語が入り混じったサイト同様、「現地のユーザーにとって有益ではない」と検索エンジンから判断され、評価が下がります。
ネイティブの人や、ネイティブ同様の言語力を持った人の手で文章を構成し、現地のユーザーにとって違和感のない、読みやすいコンテンツを用意することが好ましいです。
サーバーは対象国のものを使う
サーバーは、対象国で利用されているものを選びましょう。
対象国のサーバー上に掲載サイトがアップロードされているか否かは、検索エンジンによる評価に大きく関わるといわれています。また、対象国のサーバーを使うことで、検索結果の順位やページの表示速度が上昇した例もあります。(参考:「海外SEOで勝つポイントは、実は「サーバーの持ち方」と「呼び水流入」だったはなし」)
AWS (Amazon Web Services) など、様々な国で利用されているサーバーの検討を、おすすめします。
AWSはこちら。
アノテーションの設定を行う
「アノテーション」は、「注釈」の意味ですが、SEO対策においては「特定の言語の使用を明示する」という意味合いです。
アノテーション設定を怠った場合、
- 言語が違う同じ内容のページを、検索エンジンに「重複コンテンツ」と認識される
- 対象国の言語で検索したとしても、日本語サイトが表示される
といった不具合が生じます。
アノテーションの設定には、HTML上でlang属性という、言語属性に関する設定を行います。
▼HTMLの詳細はこちらを参照してください。
ジオターゲティングを設定する
「ジオターゲティング」は、「位置情報を活かしたマーケティング手法」を指します。
このジオターゲティングが必要なケースは、海外向けサイトのドメインが「ジェネリックドメイン」と呼ばれる「.com」「.net」「.info」等の場合です。
設定は、Googleサーチコンソールの「国によるターゲット設定ツール」から行います。対象国を設定することにより、検索エンジンに対して、そのサイトがターゲット設定したい国を伝えられる、という仕組みです。
ジオターゲティングの設定は、URLの独自設定同様、言語ごとの設定が必要です。そして、「1つのURLに対し、1か国のターゲット設定」が鉄則です。従って、例えば同じ英語圏であっても、イギリス・アメリカ・オーストラリア…等の複数設定は出来ません。
Googleサーチコンソールはこちら。
海外SEO対策の事例
では最後に、世界の6つの地域でのSEO対策の事例を、お届けします。
北アメリカ・ヨーロッパ
北アメリカ・ヨーロッパは、Googleの他、Microsoft社の検索エンジンであるBingも主流です。
Bingには、次のような特徴があります。
- Googleと評価基準は違うが、基本思想は似ているため、「ユーザーにとって有益で高品質なコンテンツ」を作成していれば、対応は難しくない
- ライバル数が非常に多いため、高品質なコンテンツが必須
- 2010年にアメリカ版Yahoo!がBingを採用したため、海外のYahoo!の自然検索・画像検索・動画検索の結果は全てBingによる提供
Bingへの対策を行う場合は、Bingウェブマスターツールへの登録が欠かせません。
Bingウェブマスターツールはこちら。
ロシア
2022年3月1日時点で、ロシア政府系メディアに対するGoogleの制裁はありましたが、Google検索エンジンは利用可能のようです。
ロシアでは、Googleよりも、Yandex RUという検索エンジンが主流です。ロシア向けのSEO対策を行う場合は、Yandexへの対応が必須です。Yandexも上記のBing同様、Webマスターツールへの登録を、まず行いましょう。
YandexWebマスターツールはこちら。
韓国
出典:NAVER
韓国では、Googleも利用されていますが、主流の検索エンジンはNAVERです。
NAVERには、以下の特徴があります。
- 「SEO対策不可能」と言われるほど、対策が困難な検索エンジン
- ただし、検索結果の特性を利用して、対応は可能
- 検索結果をブロック単位で表示する:検索結果1ページ目の広告のブロック細分化により、欲しい情報に辿り着くことが困難、または欲しい情報が表示されない
- 企業サイトはほとんど出て来ない:ECサイト以外の企業の公式サイトは、ほぼ表示されない
- ブロック最上位にはブログが表示される:NAVER対策へのイチオシはブログの活用
NAVERはこちら。
中国
中国の検索エンジンは、「Googleがほとんど使われていない」「主流は、Baidu、Sogou、Haosouの3つ」という状況です。
中でも群を抜いて使われているのは、Baiduです。そのため、「中国へのSEO対策を行う場合は、Baiduの対策を」と言っても過言ではありません。
そんなBaiduの対策には、3つのプロセスが必要です。
- 中国工信部への、サイト登録申請←必須!
- Baiduへのサイト登録
- meta情報の設定
1の「中国工信部」は、日本でいう経済産業省に当たる行政機関です。こちらへのサイト登録が必須である理由は、「Baiduが、中国工信部へのサイト登録の有無を、非常に重視している」ことによります。
2に関しては、専用フォームを通じて、検索エンジン自体へサイトの登録が可能です。
Baiduサイト登録専用フォームはこちら。
3のmeta情報の多くを、Baiduは参照します。詳細な設定が、検索結果への反映に繋がるので、細かく設定することをおすすめします。
イタリア・スペイン
イタリア・スペイン両国ともに、検索エンジンはGoogleが最も利用され、次いでBing、Yahoo!と続きます。そのため、イタリア、スペインどちらのSEO対策においても、Googleを優先することがベストといえます。
イタリア版Googleはこちら。
スペイン版Googleはこちら。
台湾
台湾では、Yahoo!TaiwanとGoogleそれぞれの利用率が、ほぼ半分ずつという状況です。そのため、台湾へのSEO対策は、Yahoo!とGoogleの両方に関して行うことが推奨されます。
Yahoo!Taiwanは「北アメリカ・ヨーロッパ」で触れたのと同様、Microsoft社の検索エンジンBingが使われています。そのため、Bing対策が必要となります。
- まずGoogle対策
- 次に、Yahoo!Taiwan及びBing対策のため、Bingウェブマスターツールへ登録
という手順で進めると良いでしょう。
まとめ
海外SEO対策には、対象国ごとのターゲット層に関する分析や、コンテンツの環境整備が必要です。
一方で、SEOの根本的な理念である「検索ユーザーに、有益で質の高いコンテンツを届ける」という部分は、世界共通といえるでしょう。そんなSEO対策の方法を改めて整理したい方は、ぜひ「【完全版】SEO対策方法一覧|まずはこれだけやろう」も、併せてご覧ください!